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2023.04.14

インボイスの登録申請は9月までに延長?令和5年度の税制改正によるインボイス制度への影響とは

はじめに

みなさんお久しぶりです。個人の確定申告業務も無事に終え、ホッと一息つける時期になりましたが、次は3月の法人決算業務が目の前に待ち構えています。毎年のことながらゾッとしています・・・。

 

さて、最近ではテレビやネットニュースなどでも「インボイス制度」が取り上げられていますね。こちらのブログでも解説記事を書かせていただきましたが、皆さんは覚えていますか?

「まだ確認してないよ」って方はこちらをぜひ読んでみてくださいね。

参考URL:すべての事業者が登録をおこなうべき!?インボイス制度が消費税に与える影響とは?|中央みらい会計事務所

 

令和5年10月から始まるインボイス制度なんですが、実は令和5年度の改正で当初の制度内容が変更になっている箇所がチラホラあるのです。

ただでさえややこしい制度内容なのに勘弁してほしいですよね・・・。

 

そこで今回は令和5年度の改正によって具体的に何が変わったのかを解説していきます。

 

令和5年度の改正によるインボイス制度への影響とは

今回の税制改正でインボイス制度に影響を与える項目は、大きく6つあります。

事業者によっては、

「本来であれば消費税の免税事業者だけど課税事業者にならざるをえない・・・」

といったケースも珍しくないと思います。そのような事業者に関係のある改正もあるため、必ずチェックしておくようにしましょう。

 

①消費税の計算方法に軽減措置がある?

1つ目の改正として、消費税の計算方法に軽減措置が設けられたことが挙げられます。これは、本来であれば免税事業者の方が、インボイス制度により課税事業者を選択する場合に適用できる軽減措置となっています。

 

具体的には消費税の計算をおこなう際に、事業年度における課税売上税額の20%を納税額とすることができます。これは「2割特例」などと呼ばれています。

 

たとえば、課税売上が税込770万円である場合、消費税の納税額は14万円(70万円×20%)となります。売上のみを集計するだけで消費税額が計算できるため、面倒な経費における消費税の集計作業も不要となります。

 

ただし、対象となるのは免税事業者から適格請求書発行事業者となった事業者のみであり、対象期間も令和5年10月1日から令和8年9月30日までとなっています。

 

そのため、免税事業者から適格請求書発行事業者となった事業者は、消費税の計算をおこなう際に、

・「本則課税」による消費税の計算

・「簡易課税」による消費税の計算

・「2割特例」による消費税の計算

以上の3つの計算方法のうち、どれが一番有利な結果になるのかを試算する必要があります。

本則課税と簡易課税の計算方法の違いについては、こちらを確認してください。

参考URL:すべての事業者が登録をおこなうべき!?インボイス制度が消費税に与える影響とは?|中央みらい会計事務所

②補助金が上乗せされる?

2つ目の改正として、補助金の上乗せがあります。対象となる補助金は「持続化補助金」という補助金で、小規模事業者などが販路開拓などに取り組む際に発生する費用の一部を補助してくれる制度です。

 

通常であれば補助金の上限額が50万円~200万円(補助率2/3以内)となっていますが、適格請求書発行事業者の場合は50万円上乗せとなり、100万円~250万円が上限額となります。

 

対象事業者は免税事業者から適格請求書発行事業者となった事業者に限られますが、上乗せの対象とならない事業者も、持続化補助金自体の対象にならない訳ではありませんので、要件を満たす場合は積極的に申請してみるとよいでしょう。

③申請登録期限の延長

3つ目の改正として、適格請求書発行事業者の登録申請期限が延長されたことがあります。当初は令和5年10月1日に登録を受けようとする場合、令和5年3月31日までに申請をおこなう必要がありました。しかし、今回の改正で令和5年9月30日までの申請であれば、令和5年10月1日を登録開始日として登録されることになりました。

 

ただし、登録申請から適格請求書発行事業者の番号が交付されるまでに1ヶ月程度かかってしまうことから、令和5年10月1日時点で登録番号を手元に準備しておきたい場合は、余裕をもって申請することをおすすめします。

④会計ソフトを導入すると補助金がもらえる?

4つ目の改正として、「会計ソフトの導入に対して補助金がもらえる」ということがあります。対象となる補助金は「IT導入補助金(デジタル化基盤導入類型)」という補助金で、中小企業者が自社の課題解決や、ニーズに合わせたITツールを導入する際に一定額を補助してくれる制度です。

 

通常であれば、

・ITツール①(補助率2/3以内)・・・50万円~350万円

・ITツール②(補助率3/4以内)・・・~50万円

・パソコンやタブレットなど(補助率1/2以内)・・・~10万円

・レジや券売機など(補助率1/2以内)・・・~20万円

となっていましたが、会計ソフトも補助対象となるようにITツール②の下限額が撤廃されました。

それにより、安価な会計ソフトであっても補助金の対象となりました。

 

⑤インボイスが不要な取引がある?

5つ目の改正として、「少額取引の特例」があります。今回の改正によって少額取引(1万円未満の課税仕入)については、適格請求書が無い場合においても仕入税額控除ができるようになりました。

 

「ん?仕入税額控除ってなに?」

って思った方はこちらの記事を参考にしてくださいね。

参考URL:すべての事業者が登録をおこなうべき!?インボイス制度が消費税に与える影響とは?|中央みらい会計事務所

 

この特例については全ての事業者が対象とはならず、次の①または②に該当する事業者が対象となります。

①基準期間の課税売上高が1億円以下の事業者

②1年前の上半期(個人事業主の場合は1月~6月)における課税売上高5千万円以下の事業者

 

また、対象期間も設けられており、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの期間限定となっています。

⑥値引きや返品時における対応の見直し

6つ目の改正として、値引きや返品時における対応の見直しがあります。今回の改正によって、少額取引(1万円未満の課税仕入)における値引時や、返品時における適格返還請求書の交付が不要となりました。

 

この改正については全ての事業者が対象となっており、対象期間も設けられていません。

2割特例は届け出が必要?

上記の税制改正「①消費税の計算方法に軽減措置がある?」において、免税事業者から適格請求書発行事業者となった事業者の選択肢としては、

①「本則課税」による消費税の計算

②「簡易課税」による消費税の計算

③「2割特例」による消費税の計算

以上の3つの計算方法のうち、どれが一番有利な結果になるのかを試算する必要があります。

と説明しました。

 

通常、本則課税以外の課税方法を選択する場合は、あらかじめ届出書を税務署に提出する必要があります。そのため、簡易課税制度により消費税の計算をおこなう場合は事前に「簡易課税制度の選択届出書」を税務署に提出しなければなりません。しかし、「2割特例」による計算をおこないたい場合は、届出書の提出は不要とされています。

まとめ

いかがだったでしょうか。

「ただでさえややこしい制度なのに余計ややこしくなる」

と感じた方は多いのではないでしょうか。

しかし、実はどの改正内容も事業者にとってはプラスとなる改正ばかりです。

(恐らくインボイス制度に反対の声が多くあがっている影響でしょう・・・)

 

また、申請期限が延長になった影響もあり、現時点でもインボイス制度の申請をおこなっていない事業者の方も多いと思います。そこで次回はインボイス制度における申請手続きなど、必要な届出書関係を中心に解説していきたいと思います。

 

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