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2022.09.06

役員退職金は支給したほうがいい?役員退職金の適正額とは

はじめに

さて、前回は役員に対する給与といえる「役員報酬」について解説しました。今回も同じ役員に対して支払われる経費について解説していきます。
今回解説していくのは「役員退職金」です。

役員退職金については法令などに明確な算定基準などが規定されていないため、たびたび税務調査の際の論点に挙げられる項目です。しかし、役員退職金は法人に限らず個人にとって大きな影響を与える経費であるため、今回はその辺りを中心に解説していきたいと思います。

 

役員退職金とは

役員退職金とは役員が退任する際に会社から支給される退職給与のことをいいます。退職金はどうしても高額になりがちなのですが、税務署から「金額が不相当に高額だ!」と指摘を受けてしまうと最悪の場合、税務上の損金から外される可能性があります。

損金についてはこちらの記事を参考にしてみてください。
参考URL:接待交際費とは?いくらでも経費に計上できるわけではないってホント?

そのため、不相当に高額であると判断されないように適正な金額を支給することが重要となります。
「そんなリスクがあるのに支給するのはどうして?」
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、役員退職金にはさまざまなメリットがあるんです。

役員退職金を支給するメリットとは

役員退職金を支給するメリットについては様々ありますが、中でも法人だけでなく個人に対してもメリットがあるという点が大きな特徴となります。ここでは役員退職金を支給するメリットを3つ紹介していきます。

法人にとって大きな経費になる

まず第一に法人目線でいうと「大きな経費になる」ということです。個人事業主の場合は自分自身や配偶者などへの退職金は経費にすることができません。しかし、法人の場合、役員に対する退職金であれば法人税法上の損金(経費)とすることができます。

退職金の金額はその会社の規定によって変動しますが、勤続年数や役職などによっては非常に大きな金額になります。そのため、法人にとっては大きな経費となるのです。

 

所得税が優遇されている

役員退職金は個人に課せられる所得税が優遇されていることもメリットの1つです。給与や役員報酬などは「給与所得」に分類されます。
それに対して退職金などは給与所得ではなく「退職所得」に分類されます。退職所得は税金の計算上、非常に優遇されています。

役員報酬や給与などの給与所得を計算する際には一定の控除がありますが、同様に退職所得も一定の控除が設けられています。しかし、退職所得は控除額を差し引いた後の金額を1/2にする方法で所得計算がおこなわれます。

「 退職所得 = 収入金額 − 退職所得控除 × 1/2 」

この1/2の部分が退職所得の税負担が軽減される大きなメリットになります。

社会保険料の負担を軽減することができる

役員退職金は社会保険料の負担面におけるメリットもあります。通常であれば給与や役員報酬は社会保険料の対象となります。そのため、社会保険料の約半分を会社が負担することになります。しかし、退職金については社会保険料の適用対象外であるため、社会保険料を会社が負担する必要がないのです。

 

役員退職金のデメリット

役員退職金はメリットだけでなくデメリットもあり、これから紹介するデメリットについても正しく理解しておかなければ、役員退職金のメリットを最大限に活かすことができません。役員退職金を最大限に活かすためにも正しく理解しておきましょう。

資金繰りが悪化する可能性がある

役員退職金を支給することで、資金繰りを圧迫する可能性があることを理解しておく必要があります。役員退職金は法人にとって大きな経費になる一方で、資金繰りに大きな影響を与える経費でもあります。

そのため、役員退職金を支給する場合は会社の資金繰りにも注意しておく必要があります。また、役員退職金は必ずしも一括で支給する必要はないため、その時の資金繰りなど会社の状況に応じて支給するようにしましょう。

税務調査で否認される可能性がある

役員退職金は税務調査で否認される可能性が高いということも覚えておく必要があります。役員退職金は大きな経費となる性質から税務調査において指摘を受けやすく、たびたび争点となることが多い勘定科目の1つです。
そのため、役員退職金を支給する際は社内規定に基づいた適切な金額にしておくことが重要となります。過度に高額な役員退職金は認められないことを覚えておきましょう。

 

役員退職慰労金とは

役員退職金を支給する際に併せて「役員退職慰労金」が支給されることがあります。役員退職慰労金については次のような特徴があります。
・退職金規定を作成しておく必要がない
・損金(経費)処理することができる
・所得税の計算上、優遇されている
・社会保険の対象外
・資金繰りを圧迫する可能性がある
・税務調査で否認される可能性がある

上記を見てわかるように、特徴の多くが役員退職金と同様の特徴となっています。また、最近では企業の報酬体系が成果主義へと変化しつつあるため、役員退職慰労金の制度を廃止している企業も多くある状況となっています。そのため、自社の資金繰りや取締役など役員との関係性を踏まえて、役員退職慰労金を支給するかどうか検討するようにしましょう。

 

 

まとめ

役員退職金や役員退職慰労金については、上手に活用することで法人税の大きな節税につなげることができます。また、支給を受けた役員に課せられる所得税についても、大きく軽減することができるなど様々なメリットがあります。

ただし、同時にデメリットもあるということを理解しておかなければなりません。節税効果やそのほかのメリットを最大限に活かすことができる支給額、支給方法を慎重に検討するようにしましょう。
また、役員退職金の相場や算定方法、法人税や所得税の試算など、事前に気になることがあれば気軽にお問い合わせください。

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