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これからの法改正の動き

建設業界の重層下請構造など根本的問題の解決策を検討へ

昨年発覚した基礎杭工事のデータ流用問題を受け、国土交通省では問題の背景にある建設業の構造的な課題の是正について議論を始めました。
中央建設業審議会と社会資本整備審議会合同の基本問題小委員会では、

【1】建設生産システムの適正化・効率化
【2】建設業を支える技術者や担い手の確保・育成
【3】建設企業の持続的な活動が図られる環境整備の推進

を主な検討課題としています。

●4〜5次の下請けは当たり前

国土交通省が現在実施している重層下請構造実態調査によると、作業員が4000人を超えるような建設現場では、6割以上で最大下請次数が5次以上となっており、6都府県では4次以上の下請企業が存在する現場が4割を超えていると報告されています。
行き過ぎた重層化についてはこれまでも議論されてきましたが、元請企業による工程管理や下請企業との連絡調整が滞り、効率的な施工が阻害されるという弊害が指摘されています。
また、重層化が進むことで間接経費が増加し、下請企業への労務費が圧縮・削減されてしまいます。
現場で起こる様々な事故や問題の背景にはこの重層化の存在があるといわれているだけに、発生する要因の分析や回避に向けた取組みが期待されます。

●いわゆる「丸投げ」の是正も

重層問題については、実質的に施工に関与しない「丸投げ」の存在も小さくありません。
工事の一括下請負は、施工責任が曖昧になり、手抜き工事や労働条件の悪化につながるとして建設業法で原則禁止されています。しかし、実態としては、いまだに根絶されていません。
丸投げとは、工事の施工に「実質的に関与」していると認められない場合に該当するとされますが、委員会ではこの定義の明確化も議論されそうです。

国土交通省は、建設業法の改正を視野に入れつつ、ことし6月をめどに報告書をまとめるとしています。

注目したい法改正の動向

  • 加工食品の原料原産地表示を拡大へ
  • 農林水産省と消費者庁は、TPPの政策大綱の公表を受け、加工食品の原料原産地表示の拡大に向けて議論を始めました。
    現行の加工食品の原料原産地表示や事業者の取組状況を踏まえ、ことしの秋をめどに中間的なとりまとめを行ない、加工食品品質表示基準の改正につなげるとしています
  • 電波利用料額の使途見直しへ
  • 電波利用料制度は、電波監視等の事務の費用に充てるため、携帯電話キャリア、放送局、アマチュア無線などから電波利用料として費用負担を求める制度です。
    これまでは総額(平成27年度は674億円)の約45%(同301億円)が地デジ対策費として使われてきましたが、平成28年度でほぼ終了。平成29年度以降のこの額の使い途について、研究開発費に充てる、電波使用料を減額する、などの案が出ています。
    電波政策2020懇談会では、ことし7月までに報告書をまとめ、電波法改正案を平成29年の通常国会に提出したいとしています。
  • 「民泊サービス」の基準設定へ
  • 自宅の一部を活用して小人数の宿泊客を受け入れる「民泊サービス」について、旅館業法のカプセルホテル等の「簡易宿所」と位置付け、現行の客室面積の基準(延床面積33m2以上)を緩和することにしました。
    具体的には、定員1人当りの面積を設定のうえ、収容定員に応じた面積基準とし、33m2未満の物件についてもその規模に応じて活用できるとしています。
    この対応は現行制度の枠組み内で可能とし(住宅地は不可)、早急な対応を目指す一方で、住宅地での民泊サービスを実現する旅館業法改正も視野に入れています。
  • "日本再興"に向けた環境整備
  • 政府の産業競争力会議は、新たな成長戦略の項目を公表しました。それによると、
    ・IoT時代の新たな経済社会システムの再設計
    ・指定国立大学の制度創設
    ・ITを活用した初等中等教育
    ・高質なヘルスケア産業の創出
    ・中小企業の海外展開支援
    などです。5月下旬までに重点項目をまとめ、情報発信するとしています。

出典・文責 ≫ 日本実業出版社・エヌ・ジェイ出版販売

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